アメリカの大学受験で欠かせないのが、SATとACTです。これは日本でいうセンター試験に相当するもので、アメリカの大学受験の合否を決める大事なテストになります。これらのテストはおおまかにReading, Writing, Math の分野に分かれており、テスト時間も3時間から4時間と、学力知識はもちろん、忍耐力を試されるテストでもあります。年に数回受けられるチャンスがあり、一番高かったスコアを締め切り前に大学側に提出します。秋の入学シーズンを目前にした春頃は、受験会場は満室、もしくは空席待ちの場合もあるので、前もって準備しておくことが大事です。
先日、某ハリウッドスターが自分の子供のSATのスコアを上げるために、多額のお金を払って大学合格を勝ち取ったことが明らかになり、スター達のドラマや映画の降板が決定されたりと、社会問題になっています。しかし、きちんと前もって準備すれば、そう難しくはありませんし、高得点を狙うチャンスは何度もあります。
とある理由で、私もこのSATテストを受けたことがあります。これから大学受験を控えたアメリカ人のお子さん方を持つ日本人のご家族のためにも、SATのポイントを説明したいと思います(2019年6月現在)。ちなみに、私はエッセイの試験を受けていませんので、エッセイの説明は省きます。
SAT
最高得点 Reading & Writing 800点 + Math 800点=1600点
Readingについて
Section 1: 52問。65分。4択問題。
長い文章(600-800 words)を4-5つ読んで、質問に答えます。文章の内容は多岐にわたり歴史、社会問題、文学、科学がメインになります。特にアフリカンアメリカンの歴史、戦争を題材にした書籍が多い印象です。SATのReadingの問題の出し方には特徴があります。例えば問35に「問34の答えの理由は、何か?」という、問34と問35が連結した問題を出します。問34が間違えば、必然的に問35も間違える、という負の連鎖が起こるので、注意が必要です。内容的にはそこまで難しくないのですが、文章を読んで全体を把握する必要があるのと(1つの文章は5分以内で読む)、単純に1問あたり1分25秒で答えなきゃいけないので、時間配分がカギとなります。グラフやデータを読めばすぐわかる単純な問題は必ずおさえること。攻略として、読みながら答える、又は読んでから答える、があると思いますが、SATに関しては、問題も時系列に沿って出しているので、どちらでもいいと思います。私はまず問題をざっと見てから、読んでから答えるパターンを使いました。
休憩10分
Section 2: 44問。35分。4択問題。
短い文章を(300-400 words)4-5つ読んで、正しい文法、語彙を選択します。文章の内容は文学、社会問題、科学、芸術に関するものが多いです。文章全体を把握する、というSection 1とは違い、前後の文脈で答えを判断する問題が多いです。長文読解は苦手だけど、文法が比較的得意な人は、ここで点を稼ぎたいところです。グラフやデータを見ればすぐわかる問題を見逃さないのと、コンマ、コロン、セミコロンの違いなども復習しておきましょう。
Mathについて
1.計算機機使用不可の問題が20問(うち4択問題が15問、記述問題が5問)。25分。
Algebra(代数学)が中心になります。日本の高校数学を理解していれば、比較的簡単に解ける問題が多いです。練習問題を何度もやっていくうちに、パターンがつかめますし、三角すいの体積の求め方V=1/3πr2などの公式を覚えなくても、最初のページに書いてあるので、気分的に楽です(ACTは公式のヒントはナシ)。記述式では、書き方にルールがあるので、注意が必要です。例えば日本では0.03と答えることろを、SATでは.03と答える(最初の0が不要)など。
休憩5分
2.計算機使用可能の問題が38問 (うち4択問題が30問、記述問題が8問)。55分。
Algebra(代数学) ,Statistics(統計学), Probability(確率)が中心になります。グラフやデータを見て答える問題がぐっと多くなります。公式のヒントもあります。グラフやデータの結果、何がわかるのか、を問う問題も多数あります。練習問題をやれば、パターンがなんとなくわかってきます。
もしエッセイのテストを受ける場合は、この後に行われます。
ポイント
SATを実際に受ける前に、College Board社から出版されている最新の練習問題集、もしくはCollege Boardのウェブサイトで練習することを強くお勧めします。いろんな会社からSAT対策の問題集が出てますが、問題の難易度にばらつきがみられるのと、問題のパターンに慣れるためにも、College Board社の問題集を必ずやって下さい。College Boardのウェブサイトで無料のテストをやってみると、自分の弱点がよくわかります。本番さながらの練習は3時間かかるので、週末や、まとまった時間が確保できる時がいいです。
毎日の学習には、Khan Academyのウェブサイトがおススメです。College Boardとコラボしたカリキュラムで、内容も難易度もさながらです。登録をすれば(無料)、試験の日に合わせた勉強のカリキュラムを自動に作成してくれます。毎日コツコツ勉強したい方にピッタリです。
試験まであと1か月しかない。。という場合は、Reading のSection 2の文法とMathを重点的に勉強するといいでしょう。特にAlgebraは基本中の基本なので、何度も繰り返し練習してください。必ずパターンがつかめてきます。時間配分に気を付けて、素早く問題を読む、解く練習を行ってください。
以前は、間違えた回答にペナルティーがついていたらしいのですが、今はありません。答えがわからないときは、とにかく何でもいいので答えを埋める、書くことに集中してください。基本4択なので、「これは絶対に違う!」と思うものを省くだけでも、正解率はかなり上がります。ちなみにアメリカ人は迷ったら正解率の高いCを選ぶ、というのがデフォだと聞いたことがあります。(統計学的根拠などはありませんので、あしからず)。
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