働くならアメリカ企業か日系企業か?

仕事

アメリカで就職活動をする際に考えることのひとつが、日系の会社で働くか、それともアメリカの会社で働くか?だと思います。

アメリカに来たばかりで、LAやNYなどの都市部にお住まいであれば、日系企業も悪くないと思います。都市部には日系企業もたくさんありますし、求人情報もたくさんあります。求められる英語力のレベルは、会社によって様々です。ほぼ日本語しか使わない日系企業もあります。日系企業で働くと、英語ができることと同等に日本語ができることが評価され、取引先や他の日本人の社員とのコミュニケーションが円滑に進むので、日本人であることが強みになります。日本人の仕事に対する責任感の強さ、チームとしての柔軟性も高く評価される場合が多いです。

しかし、デメリットもあります。手当のつかない残業を当たり前とする日本の企業文化をアメリカでも実施している会社、取引先の日本との時差を考慮した不規則な勤務時間、労働ビザサポートを引き換えに、低賃金、低福利厚生で働かせているブラック企業の存在など、問題はあります。

私も渡米して一か月後に初めて就職した企業は、日系の貿易会社でした。日本の就職斡旋会社に登録をし、何社か面接を受けた後、自分の条件と合う会社に就職を決めました。事務職の経験は全くなかったのですが、簡単なデータエントリーだから大丈夫、とのことで雇ってもらいました。社長は日本人の男性で、社員は10人(うち半数が日本人)くらいの小さな会社でした。日本にいる社長のご家族は、都内某高級地区にある億ションに住んでいるという噂だったので、かなり業績のいい会社だったと思います。

しかし、段々と腑に落ちない出来事が起こるようになりました。

しばらくして、有給休暇を申請しようと上司に伝えたところ、「ウチでは、アメリカのホリデー期間中や年末年始は、同じ部署で2人以上が同じ期間に有給を申請しないようになってるから、他の社員にも確認してから申請して下さい。ちなみに、年末はNさんが2週間の有給を既に申請しているので、年末年始に長期で日本へ帰るのは無理だと思ってて下さい。俺ももう8年帰ってないし。」と言われました。結局、他の社員が既に休みを申請していたので、私は休みを申請することができませんでした。感謝祭(Thanksgiving Day)なのになぜ休めないの?とアメリカ人夫も驚いていました。日系の個人経営の企業だと、アメリカのカレンダーではなく、取引先の日本のカレンダーで休日を決めている会社もあるのだと、初めて知りました。感謝祭当日、アメリカの取引先も休みだったので、やはり仕事にならず、「今日は帰っていいよ。」と上司から午後1時頃に言われ、帰宅。後日確認した給料明細には、祝日手当はついていませんでした。

簡単なデータエントリーと言われていた仕事も、日に日にそれ以外の細かい仕事も任されるようになりました。貿易会社での経験が全くなかった私にとって、覚えることがあまりにも多く、残業をしなければならない日も増えていきました。「残業したら時給の1.5倍もらえるから、残業してるんでしょう?そういうの困るんだよね。早く帰って!」と何度も社長に言われました。残業する場合、一旦5時にタイムカードを打ってから残業している、と言う社員もいました。もちろん残業代はでません。

またある日の朝、「XXX(上司の名前)は今日会社に来てるか?」という問い合わせがあったのも束の間、移民局の黒い制服を着た人がぞろぞろと会社に入り、私の上司が目の前で逮捕されるという事件が起きました。長期にわたる不法滞在でした。自宅にいた上司の奥さんも逮捕。その後、この会社の社員の半数が、学生ビザや労働ビザなしで違法に働いてるブラック企業だと分かり、驚きました。後で分かったのですが、学生ビザで働いていた社員は、社長の任意の元、違法で働いていました。労働ビザがある日本人社員も、社長からビザのサポートを受けるために低賃金、低福利厚生で働いていたそうです。2週間後、私は会社を辞めました。

とある日本人のベテラン会計士さんによると、こう言った事例は珍しくなく、不法滞在を移民局に知らせたのも同じ日本人である可能性が高い、と仰っていたのが印象的でした。在米日本社会の闇を見た気がします。ちなみに、その貿易会社は、今でも同じ社長で営業を続けています。社長室の棚に堂々と飾ってあった「社員に愛される会社の作り方」の本の内容が、実践されていることを願ってやみません。

日系企業で働く場合は、必ず就業規則と仕事内容(自分の仕事は一体何なのか?)の一覧を細かく確認することを、強くお勧めします。特に個人経営の場合、社長の独断と判断により、それらの内容が変わりやすいです。就業規則の改定がいつなされたのか、日付を確認するのも大事です。

その後は、アメリカの会社のみで働いています。言葉の壁はありますが、従業員の働く権利が確保されているし、休みたいときに自由に休めます。日本人もいないので気が楽です。働く会社にもよりますが、日本では当たり前のこと、例えば遅刻をしない、無断欠勤をしない、言われた仕事を時間内にする、他者とのハーモニーを大事にするといったことが高評価されるので、上司に一目置かれる場合が多いです。一番嬉しかったのが、お金をもらいながら英語力が確実にupすることです。電話での会話も怖くなくなりましたし、自分に自信が持てたのは、かなり大きかったと思います。

という理由で、私はアメリカ企業での就職をおすすめします。

 

 

 

 

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